公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート 大阪支部 リーガルサポート おおさか

よくある質問

私の妻の姉は80歳で独身。要介護認定を受けています。現在、私と同じ敷地内に別世帯で住んでいます。最近、やや認知症の症状が出始めており、また、以前にも悪質な訪問販売にひっかかるなどのトラブルがあったので、財産管理をお願いしたいのですが、どのような方法があるのでしょう。
ご本人の判断能力にもよりますが、契約を理解できる力があれば、「財産管理契約」を司法書士などの専門家と結ぶ方法があります。ご本人が契約を結ぶことが難しいようであれば、家庭裁判所に成年後見(法定後見)の申立をし、適切な保護者(成年後見人・保佐人・補助人)を選任してもらい、その保護者(成年後見人・保佐人・補助人)がご本人に代わって財産管理をすることができます。
私の両親は、二人とも認知症で特別養護老人ホームに入所しているのですが、弟が両親の財産を勝手に処分するおそれがあり、非常に心配です。どうすればいいのでしょうか。
ご両親の財産の処分権はあくまでご両親にありますので、弟さんがする処分は無効ですが、実際に処分されてしまうと取り返しが困難となることが予想されます。
こういった、すでに判断能力が衰えた方の身上面や財産面を保護するための制度が成年後見(法定後見)制度です。あなたは、ご両親の判断能力の状態に応じて保護者(成年後見人・保佐人・補助人)の選任を、家庭裁判所に申し立てることができます。信頼できる候補者がいらっしゃるならば、あわせてその候補者の選任を申立てることもできます。家庭裁判所によって選任された保護者(成年後見人・保佐人・補助人)は、家庭裁判所の監督を受けながら、ご両親の財産を管理、保護することになります。
私の妹(21歳)は精神障がいで、日常会話は何とか分かりますが、時間の経過がわからず、また、お金を使って買い物をしたりすることもできません。最近、携帯電話を勝手に契約してきましたが、通話料が必要であることは理解できません。今後、勝手にクレジットカードを作って他人に使われたりしないか心配です。良いアドバイスをお願いします。
精神上の障がいにより判断能力が不十分である方のために、家庭裁判所が適切な保護者を選び、本人を保護するための制度が成年後見(法定後見)制度です。本人の判断能力に応じて、家庭裁判所が適切な保護者(成年後見人・保佐人・補助人)を選びます。選ばれた保護者(成年後見人・保佐人・補助人)は、本人の希望を尊重しながら、財産管理や身の回りのお手伝いをします。
妹さんの場合も、成年後見(法定後見)制度を利用することで、妹さんが勝手にしてしまった契約を取り消したり、契約の無効を主張することができるなど、妹さんを法的に保護することができるようになります。
私は地域包括支援センターの職員ですが、82歳の女性から相談を受けています。内容は、50歳の精神障がいを持つ息子さん(現在入院中)の将来が心配なので、後見人をつけることができないかということです。
まず、50歳の息子さんに関しては、成年後見(法定後見)の申立てをして、第三者にその財産の管理及び身上の監護をしてもらう方法があります。相談者の方も、82歳とご高齢なのでご自身の老後について考えておかれたほうがよいでしょう。判断能力が不十分になられた後に、ご自身の望む生活や療養看護、財産の管理を実現するために、信頼できる方を受任者として公正証書により任意後見契約を締結されるのはいかがでしょうか(Q9~Q11参照)
私の妹(53歳)は幼少時より知的障がい者で、施設に入所しています。
日常の買物も満足に出来ない状態です。今回父の死亡により相続が発生したので、父名義の不動産を母名義に相続登記をしたいのですが、どうすればいいですか。相続人は母と私を含め子供4人です。
あなたの妹さんに判断能力がなければ、相続登記に必要な遺産分割協議することはできません。この場合は、妹さんのために、家庭裁判所に対し成年後見(法定後見)の申立てを行い、選任された保護者(成年後見人・保佐人・補助人)が、妹さんに代わって遺産分割や相続登記手続きを行うことになります。
父親は脳梗塞で倒れ現在入院中で、物事を判断する能力が衰えています。今後の財産管理と遺言書の作成について教えて下さい。
財産管理については成年後見(法定後見)制度を利用するとよいでしょう。成年後見(法定後見)制度とは、精神上の障がいにより判断能力が不十分で、契約等の法律行為が難しい人のため、家庭裁判所によって選ばれた適切な保護者(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の判断能力を補い、生命、身体、財産等の権利を擁護する制度です。
遺言については、遺言をする時に遺言者本人に判断能力がなければすることができません。本人の判断能力が回復すれば遺言をすることができます。後々の紛争等に備え、公証役場で作成する公正証書遺言をお勧めします。お父さんが入院している場合でも、公証人に出張してもらい、作成することができます。
母親は物忘れが激しく、一人娘の私が母親の財産管理をしていますが、その管理が大変なので、どうしたらよいでしょうか。
お母さんの判断能力の程度がよくわかりませんが、判断能力の低下が軽度であれば、お母さん本人が、財産管理を信頼できる第三者に委任することができます。また、将来、判断能力が低下した時に備えて任意後見契約を締結しておくことも可能です。判断能力の低下の度合いにより、前記のような契約を締結することが不可能であれば、家庭裁判所に成年後見(法定後見)の申立をし、家庭裁判所が選任した保護者(成年後見人・保佐人・補助人)に財産管理をしてもらうことができます。
夫が脳梗塞で倒れ判断能力がなくなり、現在寝たきりの状態で、私が後見人に選任されました。郵便局で夫名義の貯金を払い出し等の手続をする際、後見人であることの証明書(登記事項証明書)の提示を求められましたが、どのようにして手に入れたらよいのでしょうか。
後見開始等の審判がなされると裁判所から東京法務局に対して、登記の嘱託がなされ後見登記がなされますので同法務局に対して請求してください。
法務局が発行する後見登記についての証明書(登記事項証明書)を請求できる人は、本人、成年後見人等、法律により限定されています。成年後見人は登記事項証明書を取引の相手方に提示し、自己の代理権を証明することになります。
任意後見契約とはどういうものか教えて下さい。
任意後見契約とは、判断能力のある間に、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、自分の希望する人(複数、法人も可)に、自分の希望する生活、療養看護および財産の管理に関して、後見事務を委託する契約を公正証書でしておくものです。その後、判断能力が不十分になったら、任意後見監督人を家庭裁判所で選任してもらい、その監督下で依頼した後見事務をしてもらうという制度です。
任意後見契約では、契約を結んだ時から効力が発生するのでしょうか。
任意後見契約は公証役場において公正証書で作成しますが、それだけではこの契約は効力は生じません。本人の判断能力が不十分になったときに、家庭裁判所に対し、本人、配偶者、4親等内の親族、任意後見受任者から任意後見監督人の選任を申立てて、その選任がなされたときに初めて任意後見契約の効力が生じることとなります。
  1. 80歳の女性です。夫も子供もいません。東京に姉が住んでいるだけで近くに親戚もいません。入院したり、認知症になった場合、自宅の管理、年金の受給、医療や住まいの選択・契約や公的な届出、相続・葬儀や納骨まで、どうしたらよいのでしょうか。
  2. 私(74歳)は、主人(80歳)と共に老人ホームに入所中です。借家と人に貸している自宅がありますが足が悪く管理できかねる状況になってきました。子供がいないので不安です。どうすればよいでしょうか。
いずれのご相談の場合も、信頼できる人との間で任意後見契約を締結しておくという方法があります。
任意後見契約とは、将来自分が精神上の障がいにより、判断能力が不十分な状況に陥ったときに備え、予めそのような状況における自分の生活、療養看護、財産の管理に関して支援してくれることを契約しておくというものです。事前に契約できますから、自分の希望する人に、自分の望む後見事務を依頼することができます。
契約の中で不動産の管理や保険金の請求、年金の受給などについて、具体的に契約しておくのがよいでしょう。また、相続に関することは遺言書を作成し、葬儀や納骨に関することは委任契約を同時に交わしておくとよいでしょう。
75歳の独身男性です。現在、年金で生活しています。親族はいますが遠方におり、連絡も途絶えています。将来は親族を頼りにすることはできません。3年前、脳梗塞を患い右半身が不自由で、現在通院をしています。今はなんとか一人でやっていますが、この先、脳梗塞の再発等で入院した場合に、年金等の受取りや医療費等の支払いなど生活のことをどうすればいいのか不安です。
任意後見は、将来ご自分の判断能力が低下したときに備えてあらかじめ保護者を選び、将来の財産や身の回りのことなど、ご自分の希望を保護者に頼んでおくことができる制度です。あなたの場合、脳梗塞再発という危険をかかえておられることと一人暮しであること、そして親族の協力が期待できないことから任意後見契約をおすすめします。もし、任意後見人の候補者がいらっしゃらない時は、リーガルサポートの会員の中からあなたのお近くの司法書士をご紹介することもできます。
また、将来のみならず、現在すでに必要であるならば、財産の管理、金融機関との取引、年金の受取り、生活費の支払、権利書や通帳・印鑑カードの保管、医療費の支払や管理等の委任契約を結ぶこともできます。このような委任契約と任意後見契約を組み合わせることもできます。
私の母(86歳)は最近すこしずつですが認知症の症状があらわれています。今のうちに任意後見の手続きをとりたいのですが可能でしょうか。
あなたのお母さんの認知症の程度は、まだ軽度であると思われますので、契約締結の時点において判断能力があるかぎり、任意後見契約を締結することができます。この場合、契約締結後ただちに、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、その選任がなされることで任意後見契約の効力が生じ、任意後見人による、本人の希望に沿った支援・保護を受けることができます。
私の家族は、妻と娘の3人です。聞くところによると、私が死亡した後、私の財産は妻と娘に等しく相続されるそうですが、できればすべて妻に譲りたいと考えています。どうしたらよいでしょうか。
遺言書を作られることをお勧めします。ただし、お嬢さんには、遺留分(遺産の一定の割合を承継する権利)が法律で保証されています。したがって、財産をすべて奥様に相続させる遺言書を作った場合も、遺留分権利者(遺留分をもらえる人)であるお嬢さんから請求があれば、奥様はそれに応じなければならない点をお含み置きください。
遺言は、便箋にかいてもよいでしょうか。 遺言書を自分で作るときは、どういうことに注意すればよいでしょうか。
便箋に書いた遺言も有効です。遺言の用紙について制限はありません。しかし、遺言は長期間保存できる用紙に書くことが望ましいと考えます。 自分で作る遺言書を、「自筆証書遺言」といいます。
「自筆証書遺言」を作るときには、以下の点に注意してください。
  1. 遺言書の全文を自分で書くこと
  2. 遺言書を作成した日付を書くこと
  3. 遺言者が、その氏名を自署し、押印すること
  4. 内容が明確で、対象となる財産が特定されていること
  5. 加除訂正は、法律に定められた方式に従って行うこと
1から3のいずれに違反しても遺言は無効となります。また、4.5の要件を満たさないときも、無効になることがあります。また、遺言を書かれた方が亡くなられた際には相続人立会いのもと家庭裁判所の検認手続きが必要です。このように「自筆証書遺言」は、相続開始後に、形式面と内容面でその有効性をめぐってトラブルが起きるおそれがあります。そのようなトラブルを避けたい方には、「公正証書遺言」という方式で遺言書を作られることをお勧めします。
公正証書遺言とはどのようなものですか。
「公正証書遺言」は、証人2人以上の立会いのもとで、公証人が作成します。公証人は遺言をなす人が述べた遺言を文章化しこれを遺言者および証人に読み聞かせます。その後、遺言者、証人、公証人が署名・押印します。
遺言を公正証書で作成しておけば、だれがどの財産をもらうかというような遺産分割協議や家庭裁判所の検認手続きを経ずに相続にもとづく所有権移転登記等をすることができます。また、遺言者には上記遺言の正本と謄本が交付され、原本は公証役場が保管しますので、自分で作り自分で管理する「自筆証書遺言」よりも安心です。
私は老人ホームの職員です。入所されている方につきご相談します。判断能力はあるのですが、身体の不自由な人の財産管理について成年後見制度を利用することはできますか。
成年後見(法定後見)制度は、判断能力が低下した人のみを対象にしており、身体上の障がいだけがある方はこの制度の対象とはなりません。これは、身体上の障がいだけがある方は、自分の判断で法律行為ができ、また、委任契約を結ぶことによって、他人に財産の管理等を任せることができるからです。具体的には、財産全般の管理、金融機関との取引、年金の受取、生活費の支払い、権利書や通帳・印鑑カードの保管、医療費の支払等を内容とする委任契約を信頼のおける第三者と結ぶことができます。
また、将来判断能力が低下したときの事を考えて上記のような委任契約と共に任意後見契約を結ぶことができます(Q9~Q11参照)。
私は61歳の男性です。91歳の知人の女性に頼まれ、その方が老人ホームに入所する際の身元引受人になりました。しかし、自分自身の健康にも不安があるので、その身元引受人を辞退したいのですがどうしたらよいでしょうか。知人の財産は老人ホームが管理しております。
通常、老人ホームとの入所契約では、あなたが身元引受人を辞退する場合、代わりの身元引受人の方を選ぶ必要が生じます。最近では身元引受人に求められる問題を代替措置にて解決できるのであれば柔軟に対処する施設も出てきているようですので、該当する老人ホームとよくご相談下さい。
財産管理については、知人の女性の方の判断能力などにもよりますが、法定後見や任意後見といった制度を利用して、ご本人のための適切な保護者をつけてあげることが必要かと思います。親族等に保護者の適任者がいなければリーガルサポートが、候補者を推薦することもできます。
なお、身元引受人と成年後見人との兼任については利益が対立する恐れがあるため、難しいと思われます。